理事長の声・診療方針

■医療法人事業を立ち上げた「思い」について
早いもので開業してから14年、医療法人設立から12年の時が経ちました。
勤務医から開業医への転身は、それまでの“病院”といった枠組みから“地域”という枠組みへ活動範囲を広げるということであり、それは“病気を診る”ということから“人を診る=その人に最後まで寄り添うことを決意した”ことと言えると、現在は考えています。
■内科・脳神経外科医を目指した「志」とその後の「変化」について
医師になった20数年前は“病気(疾病)”に興味があり、人体に生じた問題に対して“医学”という知識を駆使して、それを解決していくことに最大の関心があった気がします。
つまり、自らが専門職として行う“治療”の成果を求めていたのであり、そういう意味で 救急医療や脳神経外科医を志しました。しかしながら、現在では「医学」という学問は 完成されたものではなく、“人体”について解っていないことは未だ数多くのことがあると 感じています。 故に、今は、その人に最後まで寄り添う=人を診ることが“その人への医療”であると考えています。
■医療や地域、高齢者社会に貢献したい
基礎医学の生化学、解剖学、生理学等によって“人体”の理解は可能ですが、“人”としての理解には不充分である、ということだろうと考えます。
つまり、基礎医学的に 正常範囲と判断されても“人”“社会”の中で活動する時、正常に働かなくなることもある、ということであり、それは“人”“社会”の中でしか存在しえないということの証明でもあります。

もう少し解りやすく説明します。“人が人らしく生きるということは社会との関係が重要”であり、私は、地域の方々が地域社会と関わり合って、生きていけるように、医療という分野で貢献したい、と考えます。特に、社会との関係性が薄れがちな高齢者が、長く社会と関係を保てるように認知症や脳疾患の改善に貢献したいのです。

■診療方針について
身体を診ること(医学モデル)は、当然必要なことだけれども、“人の生活の有り方を診ること(生活モデル)”にまで支援の輪を広げ、更には“人の集まりである社会(社会モデル)”にまで提言していかなければ真の対人援助にはならないと考えています。
現在、当法人では『認知症』と『在宅医療』の二本柱を中心に、医療を通した対人援助に 取り組んでおります。地域医療への貢献を通じて少子高齢化社会という現在の日本社会が直面している問題に真正面から取り組み、そのオピニオンリーダーを目指して いきたいと考えております。