老年症候群とその対策について

■老年症候群を知っていますか?

AC_07PHBM08誰でも“元気に長生きしたい”と考えておられると思います。実際のところ、私が医師になった約25年前に比べると現在のシニア世代は概ね10~20年は若い感じがしております。しかし、残念ながら誰でも75歳を超えるといわゆる“老い” “衰え”が始まってくることが知られています。

日常生活には、特に困らないけれども“以前のように階段を登れなくなった” ”疲れやすい” ”足腰がだるい、痛い”など、1つ1つを取り上げれば特に治療の必要はないけれど、それらが積み重なってくると全体として「老い」を感じざる負えない、こんなことはありませんか?

実はこのような状態を“老年症候群”と最近では呼ぶようになってきました。

■老年症候群の例について

“老年症候群”には様々なものがありますが、幾つか例を挙げてみたいと思います。

寝たきり(1)「運動器不安定症(ロコモライブシンドローム)」

これには、筋肉量が減ってくる“サルコペニア”や、骨が弱くなってくる“骨粗鬆症”、さらには“変形性脊髄症” “変形性膝関節症”など様々なものが含まれます。

(2)内部障害

これには、男性・女性といったホルモンバランスの低下や心機能・胃機能・肝機能・呼吸機能低下などが含まれます。

要介護(3)認知機能低下

認知症やうつ病などの気分障害が含まれます。

 

 

 

■老年虚弱状態(フレイル)について

これらの“老年症候群”に体や精神がむしばまれていくと“老年虚弱状態(フレイル)”となっていきます。

“フレイル”になると転倒や、肺炎などのちょっとしたきっかけで“要介護状態”に陥りやすいことが知られています。
従って、この“フレイル”を如何に予防、克服するかが「元気な高齢者(Active Age)」でいられる鍵となるわけです。

■老年虚弱状態(フレイル)対策について

それではこの“フレイル”を克服するために必要なこととは何でしょうか?

(1)栄養をとること

まず第1に“栄養”です。とかく「年を取ると油っこいものは・・・」などと言われますが、年を取っても“ビフテキ”を食べることです。特にタンパク質を積極的に摂るように心がけることは勿論のこと、ミネラル、ビタミン、脂肪、炭水化物など、若い頃と同じように“食”を楽しむことが必要です。

(2)運動をすること

次に重要なことは”運動”でしす。とかく年を取ると引きこもりがちになります。積極的に外へ出て、散歩を楽しみましょう。興味深いデータがあります。1日400m以下しか歩かない人と、週5日1.2km以上歩く人では、認知症の発症が半分に減ったというのです。さらに、歩きながら俳句を考えたり、一緒に歩いてくれる人がいれば“しりとり”をしたりするとさらに効果があることがわかっています。これについては「認知症のページ」で詳しく述べたいと思います。

運動とにかく、若い頃より培ってきた色々な習慣(趣味)をやり続け、友人や家族とワイワイと楽しく過ごすようにすることが、1番大切だと思います。

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